佐賀・福岡の靴屋 ティックワールド

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会長と私の靴奮戦記 Vol.4
2022.01.09 | column

「何しとんや。ウチの仕事でもせぇ」

M.ando

神戸の会社で6年ほど経った時、私は病気で入院した。1か月半の間に2度の開腹手術をし、病院から長期療養の命がくだってしまった。

泣く泣く実家に戻った数週間後に事故で母を亡くし、結局会社を辞めなければならなくなった。

心も体もズタボロだった。

田村会長は私の入院中に会社をやめて、ついに独立した。(株)テイックワールドを設立したのである。

ここで田村会長との縁は切れ、私は靴業界とはおさらばだ、とあきらめていた。

 

半年ほど経っただろうか。1本の電話が私の未来を変えた。

あの田村会長からだった。

「何しとんや。ウチの仕事でもせぇ」

優しいコトバでもなく慰めでもなく、相変わらずの口の悪さで思わず笑ってしまう私。

でも「こんなことで埋もれるな。諦めるな」そんな想いが伝わってきた。

そして会長から本当に月5万でコンセプトマップ作成やらデザイン画やら、体に負担がかからないように家でできる仕事を回してもらったり、佐賀県内の靴工場の企画のお手伝いを紹介して頂いたり、私はどうにか北九州にいながら靴業界に身を置き続けることができた。

 

田村会長の温かい情が胸に染みたコトバだった。

・・・つづく

 

神戸こぼれ話

「ハチ!」

昼食は食堂のような所で各自お弁当を食べたりしていた。

そこには小さなテレビと古い卓球台。

やっとリモコンなるものが普及し始めた時だった。

初めてリモコンを見たいじられキャラのM部長。企画のお兄さんに「これテレビに向けて、変えたいチャンネルの数字を言うたら変わるで」と言われ、リモコンをテレビに向けて言った。

「ハチ!」と。

その後全員で大爆笑。

今から思うと30年後の未来を予測してたのかなぁ。