佐賀・福岡の靴屋 ティックワールド

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会長と私の靴奮戦記 Vol.9
2022.02.13 | column

「ウチに来たかったら、社長と専務を説得せぇ!」

                                                                 M.ando

 

東京の会社にお世話になった6年目。

デパートで初めての販売体験をさせて頂いた。

パリにも行かせて頂いた。

同年代の女子仲間とも出会えた。

何より、人に伝え作ってもらうことの難しさ、神戸と浅草の靴づくりの違い、まさかの専門用語の違いなど、知らない世界を知り視野を広げることができた。

でも自ら作ることはない企画の仕事に物足りなさを感じるようになり、「神戸に戻りたい。また靴づくりに携わりたい」そういう思いが膨らんできた。

 

思い切って田村会長に「神戸に行くから会って欲しい」と電話をかけた。

「なんや、今ゆうてみぃ。神戸に来たくなったんやろう」

「ウチに来たかったら、社長と専務を説得して許可をもらってこい!」

 

全てお見通し。

 

そうとなれば説得するしかない。

当時のティックワールドにとっては大お得意様の会社。従業員を引き抜いたとあってはビジネスに支障がでる。

自ら説得して、益々良い関係を作るぐらいの気概でいかなければ!

そんな熱い想いで頭を下げながら想いを伝え、その気持ちを汲んで頂き、「ティックワールドに入って、我が社のために良い靴を提案してくれ」という言葉を戴くことができた。

 

「神戸にもどれる!」

小さくなっていた靴づくりへの熱い想いが蘇ってきた。

 

しかしせっかくの私の数少ない武勇伝は「それはお前を早く手放したかっただけや。嫌われとっただけや(笑)」と会長にからかわれるネタになってしまい・・・

 

そう。うっかり忘れていたが、そういう人だった。

 

 

浅草こぼれ話

「セイヤッ!セイヤッ!・・・」

東京の会社が浅草で良かった。

入社当初は「青山」「丸の内」などなど、「デキる女」がいそうなイメージに翻弄されていたので、「下町やん」と九州生まれが偉そうに思っていた。

その思いが一変したのが「三社祭り」

浅草寺をこの掛け声ではっぴと豆絞り、そして足袋といういでたちの男女が神輿を担ぐ姿は圧巻だ。

 

行く先々で必ずその土地に根付いた文化があって、真剣に取り組む熱い人たちがいて。

きっと世界中に一杯あるんだろうな。

旅はするもんだ。