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会長と私の靴奮戦記 Vol.6
2022.01.23 | column

「よう食うなぁ。遠慮はないんか」

M.ando

 

東京の会社は問屋なので、メーカーの企画とは全然違う仕事ばかり。

立場が変わればこんなにも物の見方が変わるのか、と新しい仕事との出逢いに戸惑う毎日だった。

 

そんなある日の事。

田村会長は私が就職した会社に打合せで来ていた。いつもは偉い方々と食事に行かれるのだが、たまたまその日は食事の相手がいなかったらしく、私に声をかけてくれた。

 

「上手い飯食わせてやるから、どこか案内せぇ」と言われ、せっかくだから地元の上司に「浅草で田村社長と食事して喜んでもらえるところ」を教えて頂いた。

 

古い民家の和食やさんを紹介して戴いたのだが、これが本当に美味しくて。

会長の驕りということもあって遠慮なくバクバク食べてた時に「よう食うなぁ。高いところに連れてきて、遠慮はないんか(笑)」と言われたのだ。

 

「今更何を言うてるんですか。あるわけないやないですか(笑)」

「あー言えば、こう言う」合戦をまた出来る日がくるとは!素直に嬉しい。

 

目の中に☆があった頃を思い出しながら、あの時の食事は格別に美味しかった。

ご馳走さまでした💛

 

浅草こぼれ話

「そろばん片手に企画ができる」

 

入社後、私以外も面接していたという話を聞いて、なぜ私が採用されたのか聞いた時の答えがこのコトバ。

「性格の良さと、そろばん片手に企画ができると思って採用した」と言われて少し驚いた。

「私ってそんなイメージ??」

デザイナーに憧れて最初につまづくのが数字との闘い。

夢が大きければ大きいほど、現実の厳しさにやる気をなくしてしまう。

想像以上に規制も多く、簡単に頭に描いたものを商品化できるような甘い世界ではない。

所詮は素人の発想。ビジネスとなるとシビアだ。

 

きっと製造企画に携わってきた30歳の私は、他の20代の女子たちより大人に見えたのでしょうね。

でも、当時の私はそう言われるより、

「性格悪そうだけど、凄い感性と才能を秘めていそう」と言われたかったなぁ(笑)