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会長と私の靴奮戦記  Vol.2
2021.12.26 | column

「これからは女の時代がくる!」

M.Ando

私が入社した頃、神戸の靴製造会社の企画をする女性はとにかく少なかった。企画室内は当時15人いたが女性は私一人。ほぼ20代から40代の男性ばかりだった。

企画の仕事とはデザインだけではなく、木型に線を描き、型紙におこし、裁断、縫製まですべてやらなくてはならず、「デザイナー」というより「パタンナー」に近い。だから女性が育ちにくい環境にあった。

とにかく男社会!今の世の中では考えられない「パワハラ」「セクハラ」のオンパレード!こうした環境の中で成長したお陰で、私の中の女性ホルモンが少なくなっていったと確信している。

その中でも最強の「パワハラ&セクハラ」製造マシンのような田村会長(当時は企画開発部長)だったが、でも他の部長とは全然違った。それは「女は強い。今から絶対女の時代がくる」と言い、靴に対する熱い想いと時代の先を読むための情報収集など、考え方はは当時から群を抜いていた。(「女性の結婚適齢期は24歳から25歳に」というニュースが流れるような時代)

「俺は男しか育てたことないんや。どうして育てたら良いかわからん。一緒に考えてくれんか」と熱い想いを聴き、とにかく熱くなるのが大好きな私は「はい!先駆者になります!」とわけもわからず、ただただ想いだけを胸一杯にし、会長についていこう!と決めた。それからというもの、通常の企画の仕事は基本だけ学び、技術は鍛えず、それよりも市場リサーチやらコンセプトマップやら、営業的なことなど、新しい企画の在り方を会長に叱られながら模索していった。

本当に厳しかった。

泣いたことは数知れず。

でも例え99きついコトバしかかけてくれなくても、たった1つの心にささるコトバを絶妙なタイミングで言われてしまうので、ついていくしかなかった、とも言えるだろう。

神戸こぼれ話

「おはようございますぅ」

靴の製造会社という事で、時々近隣の小学生の工場見学というのがあり、靴の材料や作る工程を見学して回るのだ。その際、朝の挨拶がこれ!音が出ないのが残念だが、とにかく最初は可愛くておかしくてたまらない。

通常は「おはようございまーす」だと思うが、関西は「すぅ」の最後の一文字が上がるのである。地元を離れ各土地に行く楽しみはこういう小さな発見があるから。

朝の挨拶を傍で聞きながらハッピーな気持ちになっている大人がいたなんて、子供たちは知らないだろうなぁ。